Updated : 2006/4/28 金曜日
ひとつの公演が円滑かつ好評を博しながら終演を迎えるためには、制作、舞台監督/ステージマネージャー、照明、音響、表方スタッフを問わず、仕事のテンポ、流れ、メリハリ/アクセント、ハーモニーを共有するチームとして、出演者をサポートしていかなければならない。
良いものは良い。良い公演・優れた内容の作品はそのまま観客に提示してあげる。何かしなければいけないのが、公演スタッフではない。良い公演をお客さまに観てもらえるよう努力するのが、制作も含めたスタッフの仕事である。余計なことをしないこと。公演は無事終了して当たり前。だからこそ、打ち合わせ段階から、備品、設備、時間、人手、予算等を考慮し検討しながら、リスクを回避するアドバイス/ノウハウが求められる……舞台運営は、リスクマネジメントである。やってあげたいことと、できることは違う。
劇場とコンサートホールの違い。
同じ舞台芸術であっても、「無」(黒/闇/残響ゼロ)の箱に、照明で色を入れ、音響で音楽・効果を加える、オペラを含めた劇場芸術と、「有」(木目調/明るい/残響あり)の箱であるコンサートホール芸術は、演出の前提が違う。
公演制作の大きな流れは、スタッフ打ち合わせ(小道具・大道具・持ち道具・出道具・衣裳・美術などの打ち合わせ・製作)、スタジオリハーサル・稽古、通し稽古、ステージリハーサル、ドレスリハーサル、本公演となる。
舞台、照明、音響各セクションの仕込みが円滑に行われるためには、きちんとしたタイムテーブルを作らなければならない。それはまた、不慮の事故を防ぐことにもつながるのである。例えば、舞台をセットしている最中に、照明が舞台を暗くしてしまっては危険だし、舞台上で声をかけあいながら作業している時に、音響が音を出してしまっては、声が聞こえず作業にならない。危険があっても相手に伝えることができない。
舞台も照明も音響も仕込みの時には各人、声で連絡や確認をとりながら作業を進めていくのであるから、1つの舞台の上では、1つのセクションの作業が行われる体制をとることが重要である。
舞台上で打ち合わせをしている最中に、キャットウォークで照明が声をかけあいながら仕込んでいたのでは、うるさくて打ち合わせにならないし、落下物の危険もある。各人が、時間とルールをしっかり守り、調整しながら作業を進めていくことが安全で円滑な公演運営につながっていくのである。
◎公演当日の流れの例
(公演の内容・会場によって、スケジュールや所要時間は異なる)
・公演スタッフ着到/舞台美術・道具セッティング(1~2時間)
・照明(荒)仕込み(2時間) 照明プランに合わせて、照明機器をセットする。
・サウンド・チェック マイクの使用本数や効果音の有無・量、再生機種数、録音の有無などによって要する時間は異なるが、ある程度の時間、舞台上を無音状態にする必要がある。
・場当たり(1~2時間) 場面ごとに組まれた照明シーン、音響効果(Qシート)の最終確認。出演者の立ち位置や動きに合わせて、荒仕込みされた照明を微調整(シュート)したり、音量チェックを行なう。
・ステージリハーサル 本番同様、照明、音響、転換スタッフが加わったリハーサル順リハ、逆リハ)。
・ドレス・リハーサル 衣裳を付けて、通しリハーサルを行なう。
・ダメ出し・直し(1時間) 通しリハーサル後、不具合があったシーンを各セクションごとに修正する(主に、 転換の段取りや照明の向き、シーンの組替など)。
開場→開演→終演→原状復帰→退館
(小冊子「カノン工房虎の巻」より。その2につづく)
お話と演奏/金子朋沐枝(女流尺八奏者)