Updated : 2006/8/16 水曜日
この7月、私がカノン工房に入社して、3年目となりました。前職を辞めたあとの数カ月間はプー太郎として過ごしていました。次に就職するなら、勤務地は池袋で昼寝ができる会社。この二つだけは譲れないな、と鼻息を荒くしていたころ、この仕事に出会いました。カノン工房鈴木が代表をつとめるNPOの短発アルバイトをしたことがきっかけとなり、「プー太郎」ということでカノン工房にアルバイトとして即採用。そしてカノン工房は東池袋にあり、昼寝可。希望が叶ってしまいました。願えば叶うものですね。胸をはって言えます。
アーツマネジメントや舞台技術を学んできたわけでもなく、何の専門知識も持たぬまま、演劇やダンスを見るのが割と好きだったという縁だけで、軽い気持ちでこの業界に飛び込んでしまった次第です。
いつだったか、「この仕事は、誰でもできると思われている」とカノン工房の代表の鈴木に言われたことがありました。これは、能力も経験もないのに、いっぱしのことを言った私に対して、発せられた言葉でした。カノン工房がやっている舞台の仕事・制作の仕事は、獣医師や美容師やピアノ調律師や介護士と同じように、専門性の高い仕事です。しかしながら、実際はそうは思われていないばかりか、やればできると思われているようです。入社3年目、まだまだひよっこ(銘菓ひよこの、あれ)ですが、これだけは身をもって言えます。
実際、恥をかくのも恐れずに書きますと、私も入社したばかりのころは、音響や照明さんは機械を操作する人でマニュアルがあれば誰にでもできる仕事だと思っていました。コンサートの受付の仕事もまた、礼儀さえわきまえれば誰にでもできると思っていました。しかしまぁ、この受付の仕事の奥深さといったら。一朝一夕ではとうてい、身につく仕事ではないと、ベテランレせプショニストのオダナカさんの仕事ぶりを見ていて感じます。ちょっと大袈裟ですが仕事の技術や意欲だけでなくそれまでの人生のすべて、例えば読んできた本、聴いている音楽、歴史観、人生観、今流行りの言葉でいうところの「品格」までもが、受付という文字どおり一期一会の場で試されているのではと感じるほどです。
Xジャパンファンの現総理は次期総裁(総理)候補たちに、「総理大臣なんて、なってみれば意外とやれるもんだよ」と言ったとか言わないとか。カノン工房の仕事は、そうはいきません。注目されない、地味な仕事ですけれども。ところで元Xジャパンのトシ、大丈夫か。
(向井桃子)
お話と演奏/金子朋沐枝(女流尺八奏者)